で、いつとるの?
最近の出来事
少し前にある部下(男性)から「二人目が生まれます」という報告を受けました。
私はそれを聞いてとっさに「で、いつとるの?」と聞き返してしまいました。
そうです。育休のことです。
フローレンスでは在職中に男性スタッフに子供が生まれた場合の育休取得率は100%です。
経営者もマネージャーも役職に例外なく全ての男性スタッフが育休を取得しています。
このケースでは、申告してきたスタッフ本人も育休を取るつもりで報告してきたわけですが、報告の第一声を聞いたときの上司の反応は結構重要だと思います。
職場の空気
私の場合、前職のシステムインテグレーター時代に3ヶ月の育休を取りました。
最も味方になってくれたのは人事部でした。目標値をきめて推進役として機能していました。
直属の上司は深い理解を示してくれました。
その更に上の上司は、会社として推進してるし、まぁ、とりなさいという感じでした。
前職は会社として力を入れていたので本当に助かりました。
また、社内の男性育休取得者第一号の先輩が勉強会仲間にいたのでロールモデルもありました。
これだけの「とっていいよ」という雰囲気があって、私はやっと育休に踏み切れました。
空気超重要です。
上司を始めとした、職場の空気が男性の育休取得を左右します。
そうでない状況では育休を取ろうという発想すらでてこないかもしれません。
育休取ることから話を始める
今の社会では男性の育休はまだまだスペシャルなこと。「こんなに職場に余裕がないのに、育休なんて取れないよ」というのが育休を取りたい本人も、職場の上司も、まず考えてしまうことではないでしょうか。
でも、女性が妊娠して産育休を取るときに、リソース足りないからダメなんて話は基本的にありません。
男性も同じではないでしょうか。リソースに余裕があるから育休を取得するのではなくて、家族にとって必要だから育休を取る。考える順番は家族が先。そんな優先順位が許容される社会でありたい。
だから私は、男性の部下であっても育休を取るところから、この先どうしようかと考えることにしています。フローレンスの他のマネージャーも同じです。
そして、それを組織的に続けることで、男性も育休取っていいんだよ、という風土からのメッセージが生まれます。
「で、いつとるの?」
ワークライフバランスというよりワークシフト
ワークライフバランスにまつわる誤解
今まで働き方の理想について語る際、ワークライフバランスという言葉を使ってきました。
この言葉は一見するとワークとライフが対立軸に置かれているような印象を与えます。ワークとライフの比率が9:1だからけしからん! といった風に捉えられがち。
真に意味するところは、ワークとライフが調和するバランスを主体的に選択しよう! ということです。
人によっては5:5かもしれないし、3:7かもしれません。
このニュアンスがワークライフバランスという一語だけではなかなか伝わりません。
こうした意見は以前からあって、よりわかりやすくするために「ワークライフインテグレーション」や「ワークライフハーモニー」といった、調和を意味する単語を織り交ぜた言葉も提唱されています。
しかし、私の知る限りでは今ひとつ浸透していません。
もしかしたら、”ワークライフ”という言葉そのものが、「調和させるべし」というメッセージよりも「ワークとライフの分断」を想起させてしまうのかもしれません。
仕事観
私は、誰かのためにやっていることは全て仕事である、という考え方を持っています。
うちの代表の受け売りですが、「働く」とは「傍(はた)を楽(らく)にする」ということであり、家事をすることだって、家族を楽にするために行うことであり、「働く」ということである。仕事なのです。
その中には、今まで一般的に仕事と呼ばれていた「対価をもらえる仕事」も含まれるし、今まで仕事とは呼ばれていなかった家事や学業も含まれるでしょう。
ライフビジョンや信念がはっきりしている人ほど、そうした傾向は強いように思います。
彼らにとっては「仕事」であるかの判断基準は、対価をもらうかどうかではなく、自らのライフビジョンに従った活動か、ということになります。
ワークシフト
ここまで書いたことと、ワークライフバランスの定義における「ワークとライフの調和」が目指すところ、実はそんなに違いがないのではないか、という気もしてきます。
「調和」というのは、お互いが良い影響を与え合っている、一体である、ということです。
ワークとライフを調和させることを考えるのであれば、最初から一体のものとして考える、というのもアリなはずです。
「仕事」の意味を古い考え方から変容させていく。
仕事の定義を「対価をもらえる活動」から、「自らのライフビジョンに合った活動」に変容させていくこと。
それが、結果的にはワークとライフの調和をもたらす。
似たような言葉ですが、「ワークシフト」という言葉は、私のそうした考えに合っています。
少し前にリンダクラットンが本を出したことで、有名になった言葉でもありますね。
ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉
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リンダクラットンは著書、ワーク・シフトでこんなことを書いています。
古い仕事観のもとでは、仕事とは単にお金を稼ぐことを意味していたが、未来の世界では次第に、自分のニーズと願望に沿った複雑な経験をすることを意味するようになるのかもしれない。
私が働くのは、充実した経験をするため。それが私の幸せの土台だ。
彼女が表現する「充実した経験」と、私が考える「ライフビジョンに従った活動」は、たぶん近い意味だと思います。
そういえば、フローレンスに入社したのは働き方革命のコンセプトに惚れたからでした。
働き方革命―あなたが今日から日本を変える方法 (ちくま新書)
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働き方革命とワークシフト。2つの言葉もなんだか似ています。
id:workshiftouchan には、そんな想いも込めました。
ワークシフト、働き方革命はこのブログで最も伝えたいことの一つです。
あなたのニーズは意外とある。みんなこっちこいよ!
id:workshiftouchan です。